Claude Code CLIマイグレーションガイド:Copilot、Gemini、Codex比較

Claude Code CLIマイグレーションガイド:Copilot、Gemini、Codex比較

Claude CodeからGitHub Copilot CLI、Gemini CLI、Codex CLIへの移行方法と状況別最適ツール選択ガイド

概要

CLI AIツール市場の現状

2025年、CLI(コマンドラインインターフェース)ベースのAI開発ツール市場は急速に成熟しています。Claude Code、GitHub Copilot CLI、Gemini CLI、Codex CLIなど、主要プレイヤーがそれぞれ独自の強みを持って競争しており、開発者は自分のワークフローに最適なツールを選択できる環境が整っています。

各ツールは以下のような特徴を持っています:

  • Claude Code:エージェント型アーキテクチャ、深いコード理解、長いコンテキストウィンドウ
  • GitHub Copilot CLI:GitHubエコシステムとの緊密な統合、VS Code連携
  • Gemini CLI:マルチモーダル対応、Googleクラウドサービス統合
  • Codex CLI:OpenAIエコシステム、GPT-4ベースの高度な推論

なぜマイグレーションを検討するか

マイグレーションを検討する理由は様々です:

  1. コスト最適化:各ツールの料金体系が異なるため、使用パターンによっては別のツールがコスト効率的な場合があります
  2. エコシステム統合:既存のワークフローやツールチェーンとの統合を強化したい場合
  3. 特定機能の必要性:マルチモーダル処理、特定のクラウドサービス統合など
  4. チーム標準化:組織全体で統一したツールを使用する必要がある場合
  5. パフォーマンス要件:レイテンシやスループットの要件が変化した場合

コア比較:4つのCLIツール

アーキテクチャ比較表

特徴Claude CodeCopilot CLIGemini CLICodex CLI
ベースモデルClaude 3.5/4GPT-4Gemini Pro/UltraGPT-4
コンテキストウィンドウ200K tokens32K tokens1M tokens128K tokens
エージェント機能ネイティブ限定的ネイティブプラグイン
MCP対応完全対応非対応部分対応非対応
オフライン機能なしなし部分対応なし
料金体系従量課金サブスク従量課金従量課金

設定ファイル構造比較

Claude Code

# 設定ファイル構造
~/.claude/
├── settings.json        # グローバル設定
├── settings.local.json  # ローカル設定
└── agents/              # カスタムエージェント

# プロジェクト設定
project/.claude/
├── settings.json
└── commands/            # カスタムコマンド

GitHub Copilot CLI

# 設定ファイル構造
~/.config/github-copilot/
├── hosts.json           # 認証情報
└── versions.json        # バージョン情報

# プロジェクト設定
project/.github/
└── copilot-instructions.md

Gemini CLI

# 設定ファイル構造
~/.config/gemini-cli/
├── config.yaml          # グローバル設定
├── credentials.json     # 認証情報
└── plugins/             # プラグイン

# プロジェクト設定
project/.gemini/
└── context.md

Codex CLI

# 設定ファイル構造
~/.codex/
├── config.json          # グローバル設定
└── api-key              # APIキー

# プロジェクト設定
project/.codex/
└── instructions.md

マイグレーションガイド

1. GitHub Copilot CLIへの移行

インストールと初期設定

# GitHub CLIのインストール
brew install gh

# Copilot拡張機能のインストール
gh extension install github/gh-copilot

# 認証
gh auth login
gh auth refresh -h github.com -s copilot

CLAUDE.mdからcopilot-instructions.mdへの変換

Claude CodeのCLAUDE.mdをGitHub Copilotのcopilot-instructions.mdに変換します:

# .github/copilot-instructions.md

## プロジェクト概要
[CLAUDE.mdの「プロジェクト概要」セクションをコピー]

## コーディング規約
[CLAUDE.mdの「Code Style Guidelines」をコピー]

## 重要なコンテキスト
- フレームワーク: Astro 5.x
- 言語: TypeScript strict mode
- スタイリング: Tailwind CSS

ワークフローの移行

Claude CodeCopilot CLI説明
claudegh copilot suggestコード提案
/commitgh copilot explainGit操作
エージェント呼び出しなし(手動対応)サブエージェント

移行スクリプト例

#!/bin/bash
# claude-to-copilot-migration.sh

# CLAUDE.mdをcopilot-instructions.mdに変換
convert_claude_to_copilot() {
    local claude_md="$1"
    local output_dir=".github"

    mkdir -p "$output_dir"

    # 基本変換(手動調整が必要)
    cat "$claude_md" | \
        sed 's/## 命令/## Instructions/g' | \
        sed 's/## プロジェクト概要/## Project Overview/g' \
        > "$output_dir/copilot-instructions.md"

    echo "変換完了: $output_dir/copilot-instructions.md"
    echo "注意: 手動でフォーマット調整が必要です"
}

convert_claude_to_copilot "CLAUDE.md"

2. Gemini CLIへの移行

インストールと初期設定

# Gemini CLIのインストール
npm install -g @google/gemini-cli

# 認証設定
gemini auth login

# プロジェクト設定
gemini init

設定ファイルの変換

# .gemini/config.yaml
project:
  name: "jangwook.net"
  type: "astro"

context:
  files:
    - "CLAUDE.md"  # 既存のCLAUDE.mdを直接参照可能
    - "src/content.config.ts"

plugins:
  - name: "code-analysis"
    enabled: true
  - name: "multimodal"
    enabled: true

model:
  default: "gemini-pro"
  fallback: "gemini-flash"

MCPサーバーの代替設定

Claude CodeのMCPサーバーをGemini CLIのプラグインシステムに移行します:

# .gemini/plugins.yaml
plugins:
  # Brave Search代替
  - name: "google-search"
    config:
      api_key: "${GOOGLE_SEARCH_API_KEY}"

  # Notion API代替
  - name: "google-docs"
    config:
      credentials: "${GOOGLE_CREDENTIALS_PATH}"

  # Playwright代替
  - name: "puppeteer"
    config:
      headless: true

移行時の注意点

  1. コンテキストウィンドウ:Gemini CLIは1M tokensをサポートするため、より大きなコンテキストを一度に処理可能です
  2. マルチモーダル:画像を直接入力として使用できます
  3. レイテンシ:Gemini Flashモデルを使用すると応答速度が向上します

3. Codex CLIへの移行

インストールと初期設定

# Codex CLIのインストール
npm install -g @openai/codex-cli

# APIキーの設定
export OPENAI_API_KEY="your-api-key"

# 初期化
codex init

設定ファイルの変換

// .codex/config.json
{
  "model": "gpt-4-turbo",
  "context": {
    "files": ["CLAUDE.md", "src/content.config.ts"],
    "maxTokens": 128000
  },
  "safety": {
    "requireConfirmation": true,
    "sandboxMode": true
  },
  "formatting": {
    "language": "ja",
    "style": "polite"
  }
}

カスタムコマンドの移行

Claude CodeのスラッシュコマンドをCodex CLIのエイリアスに変換します:

// .codex/aliases.json
{
  "aliases": {
    "blog": "新しいブログ記事を作成してください。言語は日本語で。",
    "seo": "SEO最適化のための提案を行ってください。",
    "review": "コードレビューを実施してください。"
  }
}

状況別最適ツール選択

GitHub Copilot CLIを選ぶべき場合

最適なユースケース:

  1. GitHubヘビーユーザー

    • GitHub Actions、GitHub Projects、GitHub Issuesを頻繁に使用する
    • プルリクエストの作成・レビューが主要ワークフロー
  2. VS Code中心の開発環境

    • エディタとCLIの統合が重要
    • インラインコード提案を多用する
  3. チーム開発

    • 組織全体でのライセンス管理が必要
    • GitHub Enterpriseを使用している
# Copilot CLIの典型的なワークフロー
gh copilot suggest "Create a new Astro component for blog cards"
gh copilot explain "git rebase -i HEAD~5"

コスト:月額10〜19ドル/ユーザー(プランによる)

Gemini CLIを選ぶべき場合

最適なユースケース:

  1. マルチモーダル処理が必要

    • デザインモックアップからコードを生成する
    • 画像、図表、スクリーンショットを入力として使用する
  2. Googleクラウドエコシステム

    • Google Cloud Platform(GCP)を使用している
    • Firebase、BigQuery、Vertex AIとの統合が必要
  3. 大規模コンテキスト処理

    • 1M tokens以上のコンテキストが必要
    • 大規模なコードベースを一度に分析したい
# Gemini CLIの典型的なワークフロー
gemini analyze --image ./mockup.png "このデザインをAstroコンポーネントに変換"
gemini context --add ./src/**/*.ts "全TypeScriptファイルを分析"

コスト:従量課金(入力1K tokens: $0.00025〜$0.0025)

Codex CLIを選ぶべき場合

最適なユースケース:

  1. OpenAIエコシステム

    • ChatGPT、Whisper、DALL-Eなど他のOpenAI製品を使用している
    • OpenAI APIに投資している
  2. 高度な推論が必要

    • 複雑なアルゴリズム設計
    • システムアーキテクチャの設計
  3. カスタムファインチューニング

    • 特定ドメインのモデルをトレーニングしたい
    • プライベートデータでのファインチューニングが必要
# Codex CLIの典型的なワークフロー
codex generate "Implement a binary search tree with TypeScript"
codex refactor ./src/utils.ts --goal "performance optimization"

コスト:従量課金(入力1K tokens: $0.01〜$0.03)

Claude Codeを維持すべき場合

最適なユースケース:

  1. エージェント型ワークフロー

    • 複数ステップの自動化タスクが多い
    • サブエージェントを活用した分業が効果的
  2. MCP(Model Context Protocol)活用

    • 外部ツールとの統合が重要
    • カスタムMCPサーバーを構築している
  3. 長文コンテンツ処理

    • ドキュメント生成、翻訳、要約が主要タスク
    • 200K tokensのコンテキストを活用している
  4. コードベース全体の理解が必要

    • 大規模リファクタリング
    • アーキテクチャ分析
# Claude Codeの典型的なワークフロー
claude "CLAUDE.mdを読んで、プロジェクト構造を理解した上で、新しいブログ記事を作成して"
/generate-recommendations  # カスタムコマンド

コスト:従量課金(入力1K tokens: $0.003〜$0.015)


ハイブリッド戦略

単一ツールにこだわる必要はありません。各ツールの強みを活かしたハイブリッド戦略が効果的です。

推奨構成例

# 開発環境での役割分担

# 1. 日常的なコーディング支援
gh copilot suggest  # クイックな提案

# 2. 深い分析・複雑なタスク
claude "このコードベースのアーキテクチャを分析して改善提案して"

# 3. マルチモーダル処理
gemini analyze --image ./design.png "実装方法を提案"

# 4. 特定タスクの自動化
codex generate "単体テストを生成"

ツール選択フローチャート

タスクを開始

    ├─ クイックな提案が必要?
    │   └─ Yes → GitHub Copilot CLI

    ├─ 画像/デザインが入力?
    │   └─ Yes → Gemini CLI

    ├─ 複数ステップの自動化?
    │   └─ Yes → Claude Code

    └─ OpenAI APIと統合?
        └─ Yes → Codex CLI

設定の共有

複数ツールで共通のコンテキストを使用するための設定:

# project-context.md(共通コンテキストファイル)
# このファイルを各ツールの設定で参照

## プロジェクト概要
Astro 5.xベースのブログサイト

## コーディング規約
- TypeScript strict mode
- Tailwind CSS
- ESLint + Prettier

## 重要なコンテキスト
[各ツール共通の情報]

各ツールの設定ファイルでこの共通ファイルを参照:

# .gemini/config.yaml
context:
  files:
    - "project-context.md"
// .codex/config.json
{
  "context": {
    "files": ["project-context.md"]
  }
}

結論

CLI AIツールの選択は、一度きりの決断ではなく、プロジェクトの要件やチームの状況に応じて継続的に評価すべきものです。

マイグレーションを成功させるポイント

  1. 段階的移行

    • 一度に全てを移行せず、特定のワークフローから始める
    • 並行運用期間を設けて比較評価する
  2. コンテキストの移植

    • CLAUDE.mdやカスタムコマンドは資産として保持
    • 新しいツールの形式に適切に変換
  3. チーム全体での合意

    • ツール選択の理由を明確に共有
    • 必要なトレーニングを実施
  4. コスト監視

    • 従量課金の場合は使用量を定期的に確認
    • 予算アラートを設定

2025年のトレンド

  • エージェント機能の標準化:各ツールがエージェント型アーキテクチャを採用
  • MCP互換性の向上:Model Context Protocolの普及
  • マルチモーダルの一般化:画像、音声、動画の入力が標準に
  • ローカル推論オプション:プライバシー重視のローカル実行モード

最終的に、最適なツールは「あなたのワークフローに最もフィットするもの」です。この記事が、より良いツール選択の一助となれば幸いです。

他の言語で読む

この記事は役に立ちましたか?

より良いコンテンツを作成するための力になります。コーヒー一杯で応援してください!☕

著者について

JK

Kim Jangwook

AI/LLM専門フルスタック開発者

10年以上のWeb開発経験を活かし、AIエージェントシステム、LLMアプリケーション、自動化ソリューションを構築しています。Claude Code、MCP、RAGシステムの実践的な知見を共有します。